生きてるだけで、愛 / 本谷有希子
- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: 単行本
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自意識が超絶に過剰で、しばしばエキセントリックで破壊的行動に衝動的に駆られる女性主人公。25歳、鬱(メンヘル)で過眠。一人称の話。
面白いですかなり。
表現はクールで現代的。虚無的(という表現で良いのか?)な感情を抱きながら、なんやかんやと身の回りで起こる小さなことにツッコミを入れていく感じは、あー分かる分かる、という感じ。本谷さん、僕と同い年、のはず。
ドンドコドンドコ主人公が破滅していって、最後はワーッ!!!!という町田康的な結末を期待していたら、(普通ではないけれど)ある意味まとまった内容の進行→オチでした。。。「劇団、本谷有希子」を主宰するだけに舞台風の進行なのかな。。。まぁいいか。
ちなみに本谷有希子さん、この文才でこの外見には萌えます。僕はヤラレました。。
google:image:本谷有希子(Google画像検索)
欲望する脳 茂木健一郎
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/11/16
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漢文が嫌いで、なんでこんなもの勉強する必要あるのか?世の中に出て役に立つのか?と思っていた僕のような高校生にとっても、記憶に残っている超有名な孔子「論語」の漢文。
子曰、吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩。
子曰く、吾れ十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)う。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず。
茂木さんが本書でテーマに掲げるのは、「七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず。」の部分。孔子が七十歳で至ったという「自分の心の欲する所に従っても、倫理的規範から逸脱しない」境地はどんな状態なのか?その疑問をベースに、「欲望」という近代的で限りなくドロドロしたものについて、多面的な考察を述べる。欲望と対立する存在であるはずの「社会の倫理的規範」についても同様に考察を加えていく。。。。。とまぁテーマが難しいですね正直。身近な話題を切り口にはしていますが、内容も難しいです正直。よく読みきったので、自分で自分を褒めたい、な(笑)
当たり前だけれども茂木さんって頭の良い人だなぁ、と素直に感心し、まとめようもない本書の内容を、まとめたことにしておく。
膨大な知識の集合体と怒濤の考察攻撃なので、集中して読まないと、ちょっと疲れるけれど。
スティーブ・ジョブズ-偶像復活
- 作者: ジェフリー・S・ヤング,ウィリアム・L・サイモン,井口耕二
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2005/11/05
- メディア: 単行本
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本日付のアカデミー賞で「レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)」がアカデミー賞長編アニメ賞を受賞。「ファインディング・ニモ(Finding Nemo)」「Mr.インクレディブル(The Incredibles)」でも同賞を受賞している"ピクサー・アニメーション・スタジオ"は名実ともに、世界一のアニメーション制作会社。個人的な体験としては、映画をほとんど観ない会社の先輩が、飛行機の中で観た「カーズ(Cars)」に感動し(号泣し)DVD購入した話を聞いた時に、ピクサーの底力を思い知った次第です。
が、ピクサーがもともと、コンピューター製造販売もやっていた会社、という事実はほとんどの人が知らない事実でしょう。いわんや、現アップルCEOであるスティーブ・ジョブズがジョージ・ルーカスから買い取って設立した会社、なんてことも。
『スティーブ・ジョブズ-偶像復活』を読んでそんな"アップル以外"のジョブズの素顔を知る。
若干22歳でアップルを設立し、億万長者になるが、30歳で会長職をクビになったジョブズ。自分で作った会社をクビになるというのもスゴい話ですが、その後の人生も波瀾万丈そのもの。アップルCEOに返り咲いた後の快進撃イメージの背景には、若くしての成功と、たくさんの失敗があったことを知り、純粋に驚く。
この本の面白いところは、ジョブズの半生を単なるカリスマとして崇めるのではなく、「エゴイスティックで矛盾した性格だけど、魅力的」と"皮肉を込めて"描いているところでしょう。ケチで、自分に従わない人間に対する仕打ちはヒドい男。認知していない子供の名前をコンピューター新製品の名前(リサ"Lisa")にする、という矛盾した行動をとる男(=さらに皮肉なことに、Lisaプロジェクトは、他人に乗っ取られてしまう)実はエンジニアとしての能力は低く、自分は空っぽなのかも、という焦燥感を、"ビジョン"と"行動"で克服した男。
Macでパーソナルコンピューターの歴史を作り、ピクサーで映画業界にCGアニメ革命を起こし、iPod・iTunesで音楽業界の流れを変えた、まさに偉大なる「アイコン(iCon)=原題」としてのジョブズが描かれる。もちろん「iCon」という言葉自体にも皮肉が込められていることはお忘れなく。(=偶像、お飾り、その他もろもろ、、、)
世紀のプレゼンの名手と呼ばれるジョブズですが、ビジネスの場を離れた部分でも、その能力は活かされるようで、有名な↓のスタンフォード大学卒業式でのスピーチはものすごく印象にのこります。(もちろん僕は字幕付きで観ました。。。)
Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005
I have looked in the mirror every morning and asked myself"If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?"
私は毎朝、鏡に向かって、自分に尋ねています。「もし、今日が私にとって最後の日だったら、自分が今日やる予定のことを、やろうと望んでいるのであろうか?」
Stay Hungry. Stay Foolish.
ハングリーであれ、馬鹿であれ。
男は黙ってYouTube?
ネットで映像を観るとき、男性はYouTube(に代表されるCGM系ビデオサイト)で、女性はテレビ局サイト、だそうです。
といっても日本の話ではなく、アメリカのNielsen Onlineが発表したデータ。
Mashable: Men are from YouTube, Women are from FOX? より引用。男女18〜34歳のオンラインビデオ視聴の実態。
対象 | CGMサイト | テレビ系列サイト |
---|---|---|
男性18〜34歳 | 22% | 11% |
女性18〜34歳 | 11% | 27% |
ふーん。日本だとどうなんでしょうか?たしかに女の人はYouTube観てるイメージはあっても、ニコニコ動画観てるイメージはないかも。まぁ日本だと、テレビ局が積極的に映像配信してないのでアレですが。。
モテたい理由 赤坂真理
- 作者: 赤坂真理
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/19
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題名だけ見ると恋愛HowTo本っぽいですが、至極マトモな男女論(と言っても、お固い内容ではないです)
モテる努力をしないと生きる資格がない、と言い切れるぐらいに「モテ」がこの世を支配している。みんなモテ、モテ、モテ、モテたいと願い、強迫観念のように願い続ける。「モテ」至上主義に疲弊し、鬱に(もしくはハイパーに)なって、もうダメかも、と思ったりする男と女。なんにせよ生きづらい。
男女どちらも「モテたい」と願っているのに、どちらも相容れず、疲れてしまうのか?↓の部分が印象的だったので引用
男に、好きな女のタイプを聞いてまわったとき、あまりにしばしば出くわす名前があることから、私は考え込んでしまった。誰だと思います?漫画『タッチ』の朝倉南と、『めぞん一刻』の音無響子(管理人さん)
〜(中略)〜
ひるがえって、女が男に求めるものが、びっくりするほど変化してきたことを思うと、男のこの純情っぷりには、涙が出てくるほどだ。女の子たちが自分への掛け金をつり上げてきた結果、買い手がつかなくなって焦ったり捨て値で自分を売りかねもしない今、男の子が女の子に求めているものは、ずっと変わっていないのだ。
まるで、女の子ばかりがモテようと勝手にニュータイプに進化し、超高高度を飛ぶ超ハイスペックステルス戦闘機になったはいいが、地上で投石している男の子を発見できない、そんな感じ。
モテ社会の主役であるべき女性は無用な努力を強いられ、男は変わらない好みにしがみつきながら、女性に「あだち充的」価値感を求め続ける。そんな男女が相容れるわけはなく、男女どちらも疲弊して、鬱(もしくはハイパー)になるとは、なんたる皮肉!!
特に、男女の関係性を女性誌を切り口に描いた部分は興味深い。エビちゃんOLの価値観をとりあげた第4章は、モテ至上主義の象徴とも言うべきCanCam、JJ記事への考察があり、なるほどねぇ、と感心。「モテ=恋愛=関係性」を食い物にする社会、それによる生きづらさ、というテーマは「若者殺しの時代(堀井 憲一郎)」と視点は近いのですかね。
ひとつだけ不満のある点は、最後の章の「戦争とアメリカと私」部分(→ちょっと散漫)。題材は深いので、「アメリカとの関係性」をテーマにして、一冊ぐらい読みたいですな。
- 作者: 堀井憲一郎
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イン・ザ・プール/空中ブランコ 奥田英朗
- 作者: 奥田英朗
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- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/03/10
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都心で雪が積もって、雪だるま作ったり、雪合戦してる子供を見て、「あー、雪合戦やりてーなー。雪だるまつくりてーなー」と思っても、本当に大人がやってたら、奇異の目で見られるのがオチで、自分が思ったことを素直にやれない、我慢しなきゃならない大人って大変だなぁ、と(当たり前ですが)思う。
主人公(?)のトンデモ精神科医・伊良部は、精神年齢が小学生レベルで、雪が降ってたら躊躇なく、雪合戦とか雪だるまをやっちゃうタイプ。患者がそんな伊良部のペースにまきこまれるにつれ、下手な治療よりも効果的に治っちゃう、がパターンの短編集。・・・と言ってしまうと、なんだか面白くもなんともなさそうですが、患者であるキャラの練られ方が半端じゃなく、一気に2冊とも読み終える。
奥田英朗氏は、コピーライター出身だそうなので、「現代に生きる”一般人”のキモチ」の観察力が遺憾なく発揮されているのでしょうか。題材になっているモデルとか、人気女流作家なんかの女性描写の仕方には感服、の一言。
サラッと読める軽い感じのわりには、いろいろ考える内容でもあり、オススメす。