イン・ザ・プール/空中ブランコ 奥田英朗

空中ブランコ (文春文庫)

空中ブランコ (文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)

都心で雪が積もって、雪だるま作ったり、雪合戦してる子供を見て、「あー、雪合戦やりてーなー。雪だるまつくりてーなー」と思っても、本当に大人がやってたら、奇異の目で見られるのがオチで、自分が思ったことを素直にやれない、我慢しなきゃならない大人って大変だなぁ、と(当たり前ですが)思う。

イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」の2冊を読む。

主人公(?)のトンデモ精神科医・伊良部は、精神年齢が小学生レベルで、雪が降ってたら躊躇なく、雪合戦とか雪だるまをやっちゃうタイプ。患者がそんな伊良部のペースにまきこまれるにつれ、下手な治療よりも効果的に治っちゃう、がパターンの短編集。・・・と言ってしまうと、なんだか面白くもなんともなさそうですが、患者であるキャラの練られ方が半端じゃなく、一気に2冊とも読み終える。

奥田英朗氏は、コピーライター出身だそうなので、「現代に生きる”一般人”のキモチ」の観察力が遺憾なく発揮されているのでしょうか。題材になっているモデルとか、人気女流作家なんかの女性描写の仕方には感服、の一言。

サラッと読める軽い感じのわりには、いろいろ考える内容でもあり、オススメす。