ガープの世界(上・下巻)

ガープの世界〈上〉 (新潮文庫)

ガープの世界〈上〉 (新潮文庫)

ガープの世界〈下〉 (新潮文庫)

ガープの世界〈下〉 (新潮文庫)

ぐるぐる包帯巻き重傷患者との「欲望なし」セックスで産まれた子供。ナース服で一生を過ごした女性運動家。強姦され舌を切り取られた少女。強姦に反対して、自ら舌を切り取る女たち。交通事故に遭った車内でフェラチオしてた浮気相手のペニスを噛み切ってしまう女。元プロフットボール選手のニューハーフ。自分が噛み付かれた犬の耳を噛み切る男。逆立ちでしか歩けない男。一輪車に乗る熊。

・・・などなどの濃いキャラクター達が繰り広げる摩訶不思議なお話。荒唐無稽で笑えるけど、悲劇的なこともたくさん起こって全編に「死」の気配が漂う。生きてることそのものが真面目に笑えること、というユーモアも感じて、暴力性の高い出来事と絶妙に中和されている。なんだかメモの域をでませんが、そんな感じの長いお話。

ジョン・アーヴィングは「熊を放つ」を以前に読んで2作目なのですが、こちらのほうがストーリー展開の完成度が格段によろしくて、断然おもしろいです。映画はマダなので、そのうち観てみます。

どうして人は、「こっけい」であっても、同時に「真面目」であることができるのだということが理解できないのだろう?

ガープは溜息をつくと、「人生は」といった。「なぜか、度がすぎるものですよ。人生が二流のメロドラマなんです、ジョン」

ガープによればこの世界では、われわれはすべて死に至る患者なのである。