愛について語るときに我々の語ること

愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)

愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)

いちおう社会人なので、まとまった時間をとっての読書、がなかなか難しい。通勤時間もそれほど長いわけではないので、「読書にドップリはまる時間」が日常に存在せず、長編小説にハマるのが難しい。そんなかんなで、短編小説は便利だ、と最近思う。ちょっとした時間にちょっとづつ短編を読む。

「愛について語るときに我々に語ること」はレイモンド・カーヴァーの短編集。村上春樹訳であることに加え、題名にも惹かれて読んでみる。普通の人間のちょっとづつ欠けてる感じ、とか、日常のふとした瞬間の哀しさ/切なさなんかが印象的な内容。個人的には、題名にもなっている、二組の夫婦、四人の男女がそれぞれの”愛”を語り合う「愛について語るときに我々に語ること」と、最後のオチの内容と表現にゾッとする「出かけるって女たちに言ってくるよ」が好き。全般的に救いはあまりない内容ですが、不快感は残らないのが不思議。

妙にゴツゴツした奇妙な題名も魅力。

  • ダンスしないか? Why Don't You Dance?
  • ファインダー Viewfinder
  • ミスター・コーヒーとミスター修理屋 Mr.Coffee And Mr.Fixit
  • ガゼボ Gazebo
  • 私にはどんな小さいものも見えた I Could See The Smallest Things
  • 菓子袋 Sacks
  • 風呂 The Bath
  • 出かけるって女たちに言ってくるよ Tell The Women We're Going
  • デニムのあとで After The Denim
  • 足もとに流れる深い川 So Much Water So Close To Home
  • 私の父が死んだ三番目の原因 The Third Thin That Killed My Father Off
  • 深刻な話 A Serious Talk
  • 静けさ The Calm
  • ある日常的力学 Popular Mechanics
  • 何もかもが彼にくっついえいた Everytihn Stuck To Him
  • 愛について語るときに我々の語ること What We Talk About When We Talk About Love
  • もうひとづだけ One More Thing

うーん。字余りなんだか、字足らずなんだか。。

ちなみに、来月(2007年10月)発売の村上春樹の新作エッセイは「走ることについて語るときに僕の語ること」だそうで、本作題名へのオマージュ。

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹が初めて自ら明かす、走ること、書くこと、僕自身。走ることについて語りつつ、小説家としてのありよう、創作の秘密、そして「彼自身」を初めて説き明かした画期的書下ろしメモワール。