「みんなの意見」は案外正しい(という仮説)

「みんなの意見」は案外正しい

「みんなの意見」は案外正しい

「衆愚」とか「烏合の衆」などの言葉はネガティブな印象。一方、「三人よれば文殊の知恵」という言葉は、ポジティブな印象。”集団”に対する考え方は一元論では語れないようです。

本書では「1906年、イギリスの片田舎で行われた雄牛の重量当てコンテストの結果、予想した集団の平均値が実際の雄牛の重量とほぼ同様であった」というトピックから始まり、集団の知恵(The Wisdom of Crowds)は個人の知恵よりも優れている、という点を検証しています。同様に、集団はなぜ「衆愚」「烏合の衆」といったネガティブな状況になるのか、も検証しているため、いちいち説得させらて、いやはや、といった感じ。

正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮するし、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力よりも優れている。優れた集団であるためには特別に優秀な個人がリーダーである必要はない。集団のメンバーの大半があまりものを知らなくても合理的でなくても、集団として賢い判断を下せる

この本自身が、梅田望夫氏が「ウェブ進化論」で取り上げていることで有名になり、ご多分に漏れず、僕自身もその一員。が、決してWeb2.0本(もはや言葉が古いか??)、ではなく科学論、組織論、政治論、経済論に渡った多岐にわたるテーマが取り上げられています。ちょっとコムズカシイ部分もあるのですが、基本的には平易な内容。

現時点では、これらの思想を体現する場として、最も親和性が高い手段が”ウェブ”なわけで、「ページランク」の概念を元にウェブ上の「集団の知恵」を整理した”Google”というサービスもあるわけです。今後もウェブを中心にして、どんどん「集団の知恵」に対する試行錯誤が進んでいくのでしょう。ただ、現時点ではこういったマクロな視点での試行錯誤が出来る存在は、Google,Wikipediaぐらいなのかも。他のサービス業者は、「金儲け」が先立っている感が否めません。

今後は、個人がこれらの情報とどうやって向き合っていくのか、がポイントになってくるような気がします。あくまで、Google営利団体なわけで、彼らが整理した情報がどこまで信頼できるのか、は随分前から問題になっているみたいですし。