プロジェクトX的価値感の終焉

台湾新幹線が今年1月5日に開業。なんだか問題も多いようです。

台湾新幹線開業 鉄道技術輸出の難しさ
台湾新幹線開業 “新たな絆”期待と不安 安全向上が課題
台湾新幹線開業「日本とは違う物」JRの安全技術生かせず
「台湾新幹線」、政争の具に・野党が安全面批判

受注した当時は「”モノづくり日本”の象徴である新幹線が海外進出!」みたいな感じで、話題になっていた記憶があります。「Made in JAPAN最高」の掛け声とともに相当な肝入りで始まったプロジェクトのはず。

新幹線と言えば「名も無き男たちの汗と涙」感動秘話が作られました。そう、プロジェクトXです。あの栄光をもう一度、とJRのエラい人達は考えたのでしょう。「名も無き日本人が、海の向こうで新幹線を走らせる」みたいな感じの栄光物語を妄想したはず。でも、実際は栄光どころか、ヨーロッパ企業との競合だとか、台湾の政治の問題だとか、オトナの事情が頻発。オトナの事情は、"モノづくり日本"という幻想(?)をいとも簡単に打ち砕いてくれたみたいです。

東京オリンピックの前に頑張って新幹線作ってる頃は「オトナの事情」なんて概念は日本には無かったのかもしれません。そんなものを凌駕するぐらいのみんなの情熱があったのでしょう。「敗戦国からの脱出」「戦後焼け野原からの再出発」的な共通の価値観・ゴールがあるから、情熱も成立するわけです。だから、何十年後に感動秘話も作れる。それを見て、戦後生まれである我々も感動する。

でも、21世紀に新幹線が走っても誰も感動しません。海外で走っているにもかかわらず感動なんかしない。ニュースを見て「へぇ〜」ぐらいの感想しか持ちません。何年経っても感動物語は成立しません。たぶん。

僕自身、プロジェクトXとか、そのテの物語は大好きです。たしかに感動します。でも、「一種のファンタジー」としての面白さなのかな、とも思います。価値観の違う世界の物語を見る感覚かもしれません。

何が言いたいのかよくわからなくなってきましたが、戦後的価値感である「社会は右肩上がりで成長しなければならない」という幻想はそろそろ止めた方が良いんではないの、ということ。わざわざ面倒な思いをして、新幹線を海外で走らせる必要があるのか、、、何十年後かに感動するため?日本の栄光を取り戻すため?
その目的すら、よく分かりません。

僕は、新幹線が日本でしか走らなくても全く問題ないです。「プロジェクトX」的な栄光を追い求めるのは、もはや現実的ではないです。おそらく。

(ここまで書いてもよくわからないので、この類の話はもう少しまとめて書きます。。。たぶん)