『熊を放つ』ジョン・アーヴィング(村上春樹訳)
- 作者: ジョンアーヴィング,John Irving,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/02/01
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ジョン・アーヴィングの処女作。村上春樹訳、ってことでハルキストとして読んでみました。ロードムービー的な青春小説なのでしょう。冗長な感じは否めませんが、アーヴィング的(春樹的?)な言い回しは満載。
青春は爆発、なのだ。青春中毒の僕としては以下のような文章が読めたので満足。
ジギーは葉っぱを土に植えた。
「ちゃんと育つかな?」と彼は言った。
「どんなことだって可能さ、ジギー。」
「そうだよな、どんなことだってな」と彼は言った。
【セイウチのいるところ】
「ジギー、君をとらえるために聖レオンハルトで道路が封鎖されているぞ!」
「封鎖されているのは君の頭の方さ」と彼は言った。
【上り坂下り坂・こちらまたあちら】
いやー、こうやって文字にすると恥ずかしい。夜中に思い出して赤面する感じ。訳者である村上春樹氏もあとがきで以下のように語っています。
僕はこの『熊を放つ』のページからたちのぼってくるむせかえるような青年期の「想い」、混乱して未整理な部分もあるにせよ、それだけにかえってリアルにそのもどかしさを伝えてくれる「想い」に強く引かれてしまうのである。
処女作にしか見出せない魅力、とはやはりこのような荒削り感、パワー、疾走感、といったところですな。